満月

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「邪魔しちゃってゴメンね、電話切るよ」 『えっ…ちょ、切っちゃダメ!!!』 切ろうとした私に焦って彼が大きい声を出した。 「でも、いいの?」 遠慮がちに言う私だが実は嬉しかったり。 『もうちょっと声聞いていたい』 その言葉を聞いて私は微笑んだ。 「…今私何処にいると思う?」 少し間を置いて話し掛ける。 『何処って…家の中じゃないの?もしかして俺んちの前?』 「バーカ、こんな夜中にそんな遠い所行けるわけないでしょ」 無茶な解答に呆れながら言葉を続けた。 「今ね、ベランダにいるんだよ」 『ベランダぁ!!?なんでんな所にいんだよ…早く部屋戻れ』 「だって今日満月なんだもん~晴れてるから星も見えて綺麗なんだよ」 夜空を見上げて綺麗に輝く満月に空いてる方の手を伸ばす。 「手…届いちゃいそう」 クスクスと笑いながら言うと携帯の向こう側からドタバタと音がした。 「何してんの?」 気になって聞いてみるとバタンと戸が閉まる音と共に返事が返ってきた。
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