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「クシュン」
寒さでくしゃみが出てしまい目が開いてしまう。
あ…。
一人しかいないと言う現実に引き戻されてしまい切ない笑みをこぼした。
『そろそろ中に入ろっか』
「……うん」
気遣って言う彼の言葉に渋々頷く。
もう少しこうしていたいけど、さすがの私も冬の寒さに限界だ。
「じゃあ電話そろそろ切るね」
ちょっと名残惜しそうに言いながら電話を切ろうとした。
『あ、来週の土曜空けとけよ!!』
突然思い出したかのように彼が言い出す。
「え?」
『やっと暇が出来たから会いに行くよ…だからそれまでおとなしく待ってろ、な?』
なんか私の気持ちを読みとられた感じがしてほんの少しだけ恥ずかしかった。
「うん、おとなしく待ってる!!」
元気良く返事をすると小さく彼の笑った声がした。
『じゃあ来週の土曜日な、オヤスミ』
「今日はありがと、オヤスミ」
ピッと電話を切って、ふぅっと一息つく。
「よし、頑張ろっと」
電話を切った私に、満面な笑みと嬉しさが残る。
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