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「だってあの場じゃ俺がああしないと納まらなかったでしょ?」
「いやいやいや、偶々下が時計柱だっただけで、あそこじゃなかったら死んでるよ?!」
「そんなことより。君も堂島や名護に目つけられたかもね。」
「えっ……………」
そうだ!!
あいつらの存在を忘れてた!!
どうしよう………
ああいう事には関わらないようにしようって決めてたのに………。
僕が黙っていると須田は少し笑って去ろうとする。
「あ………怪我………」
ふと僕の口から漏れた言葉に須田は足を止める。
「何?心配してくれるの?
ありがとう。でも、これ。見た目程痛くないんだ。
殴られ慣れてるからね。」
「………でも…保健室くらい行ったほうが……」
須田は僕の言葉がいちいち面白いようで、笑いながら食い付いてくる。
「保健室…か。うん。そうだね。行ってみるよ。保健室。
“皆が気付かないフリをしている苛め”を公にしないように今までは行かなかったんだけど…。
せっかく君が心配してくれたんだ。今日は行くことにするよ。」
まるで遊園地にでも行くかのように楽しそうに話す須田。
須田の変わったペースについていけず、僕はそれ以上何も話せなかった。
須田は鼻歌を歌いながら僕に背を向け歩いていく。
「あ。そうだ。名前。ちゃんと呼んでくれたお礼に。殴られても致命傷にならない防御のコツくらいは教えてあげるよ。」
振り返ってそれだけ言い残して須田は屋上から居なくなった。
そして、僕だけが一人、残った。
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