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何が異様かって、ぶつかった人間の風貌に放つオーラがまるで“この世の者ではない”そんな風に思わせたのだ。
それはおそらく男で、長く真っ黒なフード付きのコートを着て、フードを深く被り顔はギリギリ口元しか見えない。
背が高く、身体からは得体の知れない冷気を放ち、ぶつかった僕の肩はその男の身体の冷たさを感じた。
近くに居ると、どんどん身体が冷えていき、生気を吸い取られているようにも感じた。
怖い!!
でも、身体が動かない……。
その場から逃げ出したいのに、あまりの恐怖に足が竦んでしまう。
男は何やらぶつぶつと呟き、気持ち悪くニヤリと笑うとそのままその場を去った。
“君は美味しそうだ…”
耳ではなく、僕の頭にそう響いた気がした。
僕は逃げるように家までの道を全力で走った。
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