13人が本棚に入れています
本棚に追加
鉄製のフェンスに何かが激しくぶつかる大きな音がした瞬間、僕の視界に須田が飛び込んできた。
「お、おいっ!行こうぜっ…」
「ちっ……つまんねぇ。」
風に煽られてふらついた須田の手を、僕が間一髪のところで掴んだのだ。
無意識だった。
咄嗟に動いてしまったのだ。
あの3人は屋上から去ったようだが、この状況からどうすれば良いのかわからない。
それ程力が強くない僕の細腕には、少年一人を引き上げる力なんて無い。
須田は黙ってぶら下がっている。
「くっ………そぉ………」
なんとか引き上げようと必死になるが、掴んでいるのもやっとで、僕の腕はそろそろ限界に近づいてきた……。
駄目だっ……!
手を離せば須田はっ……!!
「…………手………離しても良いよ…。」
「えっ?!な、何言ってるんだよ!こんなとこで死ぬなよ!」
「……もう良いんだよ。」
「何がっ……くっ……良いんだよ?!」
まずいっ……
腕の………力が…………
「だから大丈夫だって。」
「僕が大丈夫じゃない!僕は人殺しになんてなりたくないんだ!!……あっ!!」
強い風が吹いてバランスが崩れるっ………!
その瞬間、僕の手は須田を離してしまった…………。
「……そん………な………嘘……………でしょ………………」
最初のコメントを投稿しよう!