プロローグ

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視界がくらくらして、目眩がする。 「う、あ」 思いきり腹に重い蹴りを入れられ、一瞬で吐き気が襲ってくる。気持ち悪い。頭も痛い。コンクリートの地面に頬を擦り付けながら呻く。眼鏡のフレーム、曲がったかも。 俺の腹を蹴った張本人はにやにやと笑いながら、俺が苦しむ様子を観察している。 「ひ、やま」 「ねえ成田、まだ限界じゃないの?」 再び、腹に蹴りが一発。胃の内容物が逆流しそうになる。 「うっ…おぇ」 「あは、良い眺め」 整った顔を歪めてけらけらと笑うこの樋山という男は、まさに悪魔のような奴だ。 「ねぇ、成田」 悪魔が囁く。 「もっと、その顔見せろよ」  
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