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「泣く程ですかっ!? だ、大丈夫です! 私はこれでも神の代行者。約束を反古にはしません! そしてこれを!」
天使は陣の端ぎりぎりまで近寄ってきて、俺の額に左手の指を当てた。
指先が淡い黄色に発光し、何かが頭の中に入ってくる感触がする。
「これでよし、ちょっと急になりますから、座標が少しズレてしまうかもしれませんが、行きますよ!!」
足元の陣の光量が増し、何か温かいものが集束する音が聞こえ始める。
……なんかヤバい気がする!! とりあえず天使様に何か言わねば!!
「て、天使様っ!」
「はい!」
「天使様のお名前はっ!?」
「え、えっと……セラ! セラです!!」
一瞬、その名前に取っ掛かりを覚える。
しかし、きっと気のせいだと思い、俺はその名前を呼んだ。
「セラさんっ!!」
「はい!!」
「今度会うときはっ!! メイド服でお願いしま――――」
そこで視界がまばゆい光に覆われ、完全にホワイトアウトした。
「いってらっしゃい……」
最後に、そんな声が聞こえたような気がした。
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