終わらない悪夢

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最初からコントロールパネルの仕組みに御桜さんは気づいていたのかもしれない。 御桜さんこのメンバーの中で間違いなく一番分析力、洞察力に長けている。 そんな気がしてならない。 「そうです。なのでこれでどの個室トイレから行けばいいのか決まりましたね。」 ただ、何か引っ掛かることがあった。 何かを見落としている。 何だろうか。 わからない。 だが…嫌な予感がする。 「奥の三番目の個室トイレに少人数で入っていこう。」 俺と御桜さんと七海で入った。 そして止めるを五回連続入力をした。 すると館内でアナウンスが始まった。 「現在は非常事態が発生しています。なので一般外出は出来ません。非常出口から出て下さい。繰り返します。」 そうか。 引っ掛かっていたことはこれだ。 この館はどう考えても非常事態じゃないか。 化け物が徘徊しているのは異常事態だ。 俺は個室トイレから出て、皆に言った。 「今から地下ルートを探そう。」 「地下ルートを探すの?」 言ったのは七海だった。 「あぁ、仕方ないだろ。」 「そうだけど…まだ終わらないんだね。」 誰だって早くこの館から脱出したいだろう。 だから今は使えない一般外出ルート は諦めるしかない。 「皆、行こう。」 全員頷くと俺たちはトイレから出た。 すると廊下には見たことのない化け物がいた。 ただ、聞いたことがある発言をしていた。 「チヲクダサイ…」 その化け物は間違いなくブラッドシャワーだった。 身長は2mはあり、全身赤く染まっていた。 目はなくまるで昆虫のような口を持っていた。 そして人の形をしていたのだ。 「嘘だろ…」 「あの化け物は…ブラッドシャワーですね。」 御桜さんは気付いていた。 「くそ…皆逃げろ!俺が囮になる!」 「嘘でしょ!?あんなのと戦ったら健太死んじゃうよ!」 「健太さん…私も残ります。二人ならどうにかなるかもしれません。」 果たしてどうにかなるだろうか。 ブラッドシャワーは奇跡的に止まっていた。 理由はわからないが。 「駄目だよ!全員で逃げないと!」 「七海!俺達は…この館から脱出するんだろ!だったら言うことを聞いてくれ!」 「でもっ…」 「七海さん、大丈夫です。私達はこんな所では死にません。」 御桜さんは意志の宿った瞳で七海に言った。
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