終わらない悪夢

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「隠し通路か?」 崩れた壁の中は暗い空洞が広がっていた。 「中に入ってみる価値はあると思います。」 「そうだな。だが、全員は行く必要はないな。」 「なんでですか?」 「リスクの分散だ。」 「あぁ…なるほど。そういうことですか。」 「健太が言ったのはどういうことなの?」 「七海さん、健太さんが言いたいのはこの先は何が起きるかはわからない。そのために全員では行かず、分けて行くことで何かあった時は残った仲間には被害をないようにすると言うことです。」 「え…じゃあ何かあった時の仲間はどうなるの?」 「そこで命が終わりと言うことですよ。」 「…」 「でも全員で行ったら全員終わりよりはいいだろ?」 「そうだけど…」 その話をしていると他の仲間は露骨に不愉快な顔をしていた。 ただ、百合川さんは不愉快な顔をせずに話を聞いていた。 「まぁ…他の奴が行きたくないなら俺だけが行くよ。そうすれば犠牲は1人で済むしな。」 「ちょっと健太さん。何1人で勝手に行こうとしているんですか。私は行きますよ。健太さんには命を助けて頂いているんですから脱出するまでは一緒に行動します。」 御桜さんは行く気マンマンである。 「僕も行くよ。男なのに健太ばっかりに任せてはいられないよ。」 幸太も突如して行く気がある顔になっていた。 「私も行く。」 「私も行きます。」 百合川さんと七海も覚悟を決めた顔である。 「みんなで行ったらリスク分散の意味がないだろ…まぁ皆行く気なら全員で行こう。」 俺達は暗闇の空洞の中へ入って行った。 「うわっ…暗いな。」 「健太!懐中電灯あるよ!」 「マジか?」 七海は懐中電灯を俺に渡してくれた。 「いつから持ってたんだ?」 「休憩部屋に入ったらあったよ。」 なるほど。 部屋に置いてあったのを拝借したわけか。 まぁ…多分返さないけど。 「七海、懐中電灯ありがとう。」 光を照らしながら辺りを見回すと特に仕掛けとかはなく真っ直ぐに道が続いていた。 前にもこういう場所に入ったが、前よりも空洞は大きかった。 その後探索しながら歩いていると行き止まりになっていた。 「行き止まり…か?」 「健太さん、この壁も意外に壊れるかもしれないですよ。」 「まぁ…まずは仕掛けがあるか確かめて見るよ。」
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