終わらない悪夢

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ダン…ダン…ダン 「何の音だ?」 俺は辺りを見回したが、特に変化は見られない。 …もしかして壁の向こうの音か? 壁に耳を付け音を拾うことにした。 ダン…ダン…ダン やはりこの壁の向こうから聞こえる。 ダン…ダン…ダン 音が近付く気配はなく離れているわけでもなかった。 次の瞬間、ダンという音が止んだ。 「…一体何が起きる?」 俺は反射的にそんな言葉を口走っていた。 ダン…ダン…ダン…ダン ダンと言う音は徐々に離れていき、そして聞こえなくなった。 「今のは何だったのでしょうか?」 「わからない…ただ直感的に危険を感じたよ。」 はっきりは言えないがあれは化け物の足音だろう。 理由は簡単だ。 幾度も経験したからだ。 化け物と遭遇する前は何かの足音ような物を聞いてきたからだ。 「さて…この壁には何の仕掛けもなさそうだし、破壊する。」 俺は勢いよく壁に蹴りを入れた。 だが壊れることはなく俺が痛い思いをしただけだった。 「…駄目だ。蹴りでは無理みたいだし銃で壊す。」 俺は猟銃で壁に撃った。 すると壁に穴が空いたのだ。 「何発も撃ってたら弾の無駄使いになるな。御桜さん、ショットガンを貸してくれない?」 「どうぞ。」 俺はショットガンを借りると壁に向けてまた撃ったのだ。 すると無数に壁に穴が空いた。 「よし…では今度こそ!」 俺は壁に本気で蹴りを入れた。 すると壁に大きな穴ができたのだ。 「今度は壊れましたね。」 「そうだな。さて…この壁にできた大きな穴から出るぞ。」 その穴から俺が出てみると広がったのは見たことのない空間だった。 中は大きな洞窟のような感じであった。 「…ここは地下空間か?」 「分からないですが、どうやら館とは何か隔離された空間みたいですね。」 洞窟のような空間には電気を利用した光がちらほらあった。 足場ちゃんと整備されており、完全に洞窟とは言えるかはわからない場所である。 ただ、不気味な感じは漂っていた。 それに異様な臭いがした。 まるで何かが腐ったような臭いと言えばいいのだろうか。 取り敢えず長居はしたくないというのが俺の中で出た結果だった。
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