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『号外! 幻の名画が発見!
ブラン公爵主催の博覧会にて一般公開!』
「そんな博覧会は要らないと思うけどな」
そんな紙切れがばらまかれているのは南東部に位置するミストラル国の領地、マディロス。
そして、率直な感想を述べたのは背中に大剣を携えた襟首まで掛かる長い白髪の青年。
シスト・デルベンス
彼はマディロスから森を抜けた先にあるシェルツという町のギルドに所属している。
目に掛かるほど長い前髪に隠された瞳は赤茶で優しい目付きをしていた。
背は175㎝ではあるが背中の大剣のお陰でより大きく見える。
「……んで、どこにあるんだろ?
ブラン公爵邸って……」
「……失礼
シスト・デルベンス様ですか?」
黒いジャケットを風にたなびかせて途方にくれていると不意に背中から声を掛けられた。
シストが振り向くとそこには燕尾服を来たどこからどう見ても執事の男が立っていた。
「そうだけど…… あ、ブラン公爵の執事さん?」
「はい、余りに遅いのでお迎えにあがりました」
シストは訊ねると丁寧に皮肉を言ってお辞儀する。
シストは頬を掻いて苦笑した。
「すみません
ちょっと道に迷ってて」
「はぁ……フン では案内します、付いてきてください」
執事は無愛想かつ馬鹿にしたように鼻で笑いシストに背を向けた。
内心、イラつきながらも笑みを浮かべシストは執事の後ろを歩いていった。
ブラン公爵邸
「……うへ~、でかいな~……」
シストは執事の後ろを歩き目の前にある豪邸に感嘆の息を漏らしている。
そのシストに枝切り鋏を持つ亜麻色の初老の男性が歩み寄り話し掛けた。
「……君は誰かね?」
「あ! ブラン公爵
ただいま戻りました」
執事が慌てて頭を下げるところを見るとこの初老の方がブラン公爵らしい。
「シスト・デルベンスです
依頼を承り参りました」
シストは丁寧に頭を下げる。
軽く笑うブラン公爵。
「いい青年だね
詳しくは中で話そうか」
シストはブラン公爵の勧めるがまま公爵邸へと入って言った。
「……あの人は誰なのかな?」
その様子を木の影から見る亜麻色のロングヘアーのラインストーンとフリルで装飾されたヘッドドレスが目立つ女の子が見つめていた。
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