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『今日はこれで終わりです』
学級委員長がHRを締め括り、放課後となった。
多分このパターンは、前回と同じだ。
バスに轢かれて、死んでしまう。
「帰ろうよ」
夕方になっても暑さを忘れない夏は、友達を熱となって襲う。
汗が尋常じゃない程出ていた。
「うん、ちょっと待ってて」
急いで荷物を鞄に入れ、教室を出る。
「……でね、あいつが…」
「そうだよね、あいつ可笑しいよね」
たわいのない話。
これがずっと続けばいいのに。
だけど、運命は無情。前回と同じパターンを作りだす。
信号は赤。
まだ時間はある。
「ねぇねぇ、もし……」
「もし……? 」
「もし、私が死ぬんだったらどうする」
あえて疑問詞は付けない。
気持ちを整理する。
暑さと緊張で二種類の汗が出る。
友達は困惑した表情でこちらを見る。
……まぁ、仕方ないよね。
「死んでも、私を忘れないでよね」
「……え」
精一杯笑って前に出る。
信号は青。なのにトラックは進んでいる。
友達は必死に私を助けようとして前に出ようとした。
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