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そして私は、学校に行かなければいけない。何度か、その運命に逆らってみた。
駄目だった。
ある時はトラックに轢かれた。
ある時は屋上から落ちた。
「はぁ……」
私は部屋で、制服を着て学校に行く。
毎日今日の繰り返し。
先生が『抜き打ちテスト』をするのも知っている。
学年主任が『服装検査』をするのも知っている。
なにもかもが一緒。
私に話し掛ける人が、まるで機械のように思えてきてしまう。
家を出て、いつもの通学路を行く。
そして私は問題の道に差し掛かる。
目の前にあるのは、小さな横断歩道。
決して人通りが多くない、だがしっかりと信号がついている。
昨日、この信号がある道で私は死んでしまった。
さながら、死刑台にあるギロチンのように待ち構えているみたい。
信号は赤。
考え事をしていると、バスが横切った。
そう、あれに轢かれて死んでしまった。
何回も見る青いバスが、赤いバスに変わるのはもう耐えれない。
信号が青に変わり、近くにいた小学生が道を渡る。
今日こそは、死なない。
そう決意し、私は横断歩道を渡った。
振り返れば既に赤になっていた。
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