6人が本棚に入れています
本棚に追加
私は高校に着いた。
他の高校よりは小さいと思うが、かと言ってそこまで小さくない中途半端な大きさ。
そして、来年で開校30年を迎える。
「おはよう」
元気よく私に挨拶してくれる彼女。
彼女こそが私の友達であり、いつも私の『死』を見ている。
ふとその疑問が頭に浮かび、そして消えた。
「おはよう」
元気よく、私も挨拶を返す。
そして、たわいのない会話を始める。
毎回考えてしまう事がある。
何故、私は死んでしまうのか。
何故、時は進まないのか。
何故、私はこの終わりの無い『今日』に縛られているのか。
晴れない私の心とは対照に、空は清々しい程に晴れている。
「はぁ……」
「どうしたの、元気がないね」
彼女の優しい声が、私に一層と暗い影を落とす。
「大丈夫、いつも通りだから」
「何かあったら言ってね。私が君を守るから」
いや、大丈夫だから。
今日こそ、君に私の『死』を見させないから……
明日を見せるから。
『早く学校に入りなさい! 』
口煩い学年主任の声がした。
空耳ではないだろう。だって何回も彼の声は聞いたから。
「ほら、行こう」
「うん」
私達は急いで学校に入った。
最初のコメントを投稿しよう!