二章 異常事態

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雨上がりの晴れた空の下、演習場控え室では… 「はぁ~、何だか退屈ですねぇ~…。」 金髪の少女―新人バスターのアリシアが大きなため息を吐いていた。 口にこそ出さないが、ジズも同感だ。 あのアリシア着任試験から既に7日が経っていた。 その間、一度も出撃命令が出ていないのだ。 しかしこれはジズ達だけでなく他のバスターも同じらしい。 つまり、喰獣の出現率自体が落ちているのだ。 被害が減って喜ばしい事なのだが、少し張り合いがない。 体が鈍ってはいけないので、ジズとアリシアはここ数日、演習場に入り浸っているのだ。 ちなみに、カインは何やら調べ物があるとかでいない。 「先輩、そろそろ模擬戦闘再開しませんか?」 アリシアの提案に頷き、立ち上がる。 彼女との模擬戦闘は、近接同士ということもあってなかなか刺激的だった。 もちろん、実力はジズの方が格段に上なのだが。 ただ、アリシアの成長速度はかなりの物で気を抜くと追い越される可能性は十分ある。 (それも楽しみだけどな。) 再び演習場に立ち、アリシアと対峙したジズは静かにブースターを起動させた。 休憩を終えた彼らは、再び演習場を飛び回って剣を交じ合わすのだった。 その衝突が奏でる金属音は、日が落ちて辺りが暗くなるまで鳴り響いていた。
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