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全てが淡い、青の空間。
少年が1人、そこにいた。
また、この夢か。
少年はそう思っていた。
しかし、今日は相手の姿が見えない。
「ねぇ?」
突如、後ろから話しかけられる。
少年は振り返る。
そこには、いつもの少年がいた。
2人とも、同じプラチナブロンドの長い髪を首の後ろで縛っている。
どちらもコバルトブルーの瞳をしていて、雪のような白い肌をしている。
違いがあるとすれば後ろから話しかけた少年は灰色の学生服を、振り返った少年は紺色の学生服を着ている事。
「やっと、分かったんだね。自分の事……」
灰色の、話しかけた少年はいつもの無表情でそう訊ねる。
「うん。あなたは……あなたは、俺の前世の姿なんだよね?」
紺色の、話しかけられた少年がそう確認する。
「そうだよ。俺は君。君は俺。……俺達は一心同体。生まれた時代が違うだけで、同じ存在」
灰色の少年は、ただ淡々とそう答える。
「ねぇ、質問してもいい?」
紺色の少年が訊ねると「さっきもしてるじゃん」と灰色の少年が答える。
「それもそうだね。……あなたはどうして、俺の夢に出てくるの?」
紺色の少年が訊ねると、初めて灰色の少年が表情を崩す。
その表情は、どこか悲しげに見える。
「…………俺はね、この世界を見たかったの」
灰色の少年は突然、そう答える。
「え……? 見たかった…………??」
「あ、ホラ。そろそろおはようの時間だよ。この話の続きは、また今度ね」
灰色の少年はそう言って、紺色の少年の元から去って行った……。
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