第弐夜

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 ~ホークアイside~ 「……やられた…………」  置いてかれちゃった……。  城を追放って聞いて、慌ててやってきたリュカ兄の部屋。けど時既に遅く、荷物は無くなって部屋はもぬけの殻だった。  ランディ兄の姿も見えないし……僕、1人置いてかれたよ…………。 「……探そ。意地でも見つけてやる」  リュカ兄が追放された理由は聞いた。けど、納得がいかない。リュカ兄がそんな事、するはずがない。ましてやランディ兄に実行を頼むなんて有り得ない。  きっと何かの間違いなんだ。あるいは、リュカ兄が何かを隠しているか……。  僕は隣の自分の部屋に向かう。  そして、荷物をまとめ始める。  追放されたのは今日。リュカ兄はマイペースだし、一緒ならランディ兄もリュカ兄のペースに合わせてるはず。今から行けば、まだ間に合うかもしれない!  リュカ兄に会って、訊かなくちゃ。どういう事なのか。 「ホーク。入るよ」  トントンって扉が叩かれて、おじいちゃんが入って来た。どうしよう、止められちゃうかな……? 「あれ? その荷物……出掛けるの?」 「あ、え~と……」  とっさの事で言い訳を思いつかなくて、僕は何も言えなくなった。  でもおじいちゃんは何も言わずにニコリと笑って、僕にちょっと重たい封筒を渡した。 「え、なに? コレ……?」  ただの手紙にしてはかなりズッシリしているし、何より封が開けっ放し。不思議に思って僕は、おじいちゃんに訊いてみた。 「2ヶ月で、そこまでお小遣い貯まらないでしょ? 俺と兄さんから、お小遣い。いってらっしゃい」  おじいちゃんは笑顔のまま、僕にそう言った。  でもこの重さ、かなりの金額だよね……? 「……いいの? こんなにもらって」 「うん。ほら、早く行かないと追い付けないよ?」  おじいちゃんに言われて、僕は「ありがとう」って言って部屋を出た。
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