第弐夜

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 ~リュカside~  今、俺達はキラディスの国の公園にいる。  どこに行こうか、考える為。 「寒いから、あったかいとこ行きたい~……」  上着を着て、寒そうに震えているランディ。あまりの寒がりっぷりに、見てるこっちが凍えそう……。 「じゃあ、南行こっか?」  あんまりガチガチ震えて可哀想だから、南に行く事を提案する。 「さんせ~! う~、さむっ!」  そう言った瞬間、クシャミをするランディ。かなり寒そうですね。  けど……俺、暑いの苦手。 「じゃあ南行きの船に乗ろう。南行き」  ランディは相変わらずカタカタガタガタ震えてる。 「……ねぇ、大丈夫?」  心配になった俺は、そう訊いてみる。 「ダメ! 寒い!!」  ランディはまたクシャミをする。しょうがないんだから……。 「……はい」  俺は上着を脱いで、渡してやる。冷たい冬の風が、長袖の俺の服を通して肌に当たる。 「いいよ。リュカが風邪ひいちゃうでしょ?」 「寒がってるランディを見てる方が、風邪ひきそうな気がする」  俺はそう突っぱねて、ランディの頭にボフッと上着を被せる。 「ちょっと、窒息するでしょ~が。もう……。ありがと、リュカ」  ランディは俺を笑顔で見てくる。 「南行きの船はミセティルから出てるはずだから、まずはそこに行こう」  俺はそう言って、さっさと歩き出す。  ランディが「待って~」って言いながら後ろから走ってくる。  ミセティル国……。ミルカの故郷の、船で行く時の最寄りの国。  そうだ。久々にミルカに会って行こうかな? かれこれ1ヶ月近く会ってないし。 「ランディ~。ミルカの家に寄ってかない?」  隣に来たランディに、俺は訊ねる。 「いいんじゃない? どうせ、アテないし」  ランディも笑顔で快諾してくれた。  のんびり行きましょ。の~んびり。
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