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キラディスで船に乗った次の日、俺達はミルカの家に遊びに来た。
「……あれ?」
「いらっしゃったよ~」
「え? 違うでしょ、リュカ!?」
ミルカがドアを開けた途端、目を丸くする。
俺達の幼なじみでホークと同い年のミルカ。深緑のような緑色の髪が結構綺麗で、髪は最近伸ばして肩にかかってる。ちょっと色白で、目の色は青緑。胸は、まぁ、本人には悪いけどちょっと小さい。
俺はそんなミルカになんとなく「いらっしゃった」って言ってみた。けどすぐ、ランディに突っ込まれた。
「いらっしゃい。どうしたの? 2人とも」
ミルカはそう言って、家の中に入れてくれた。
質素な、でもぬくもりのある優しい木の家。生活感溢れる、森の匂い。
俺はそんな、ミルカの家が大好き。レンガ作りの城より、こういう所に住みたかったな……。
「どうしたって……え~と……」
ランディは家に上がらせてもらいながら、返答に困っている。
「ランディが猫を追っかけて来たんだよ。ね~?」
俺がテキトーな事を言うと「いや、間違ってないけど……って、おおい!?」とか言われた。あれ? 間違ってないの??
「猫って……リュカ?」
「そうそう」
ミルカが訊ねると、ランディがあっさりそう言う。俺、自分を猫に例えたつもりなかったんだけど……。
「という事は、また家出? あ、紅茶持ってくるね。リュカはミルクティーで、ランディはレモンだっけ?」
どうやら、わざわざ作ってくれるらしい。いや、でも……。
「逆」
「あ、ごめん」
俺ははっきり、逆な事を伝えた。俺はレモンで、ランディがミルクティーです。……でも、俺、アールグレイの方が好きなのは内緒。
「あ、俺もレモンティーでいいよ。別々に作るの、大変だろ」
ランディはレモンで妥協したそうです。
「うん、分かった。ちょっと待ってて」
ミルカはそう言って台所に向かった。
程無くして、あったかいレモンティーが運ばれてきた。
「それで、今度はなんで家出なの?」
ミルカがそう訊いてきたのと俺がレモンティーを飲んだのはほぼ同時だった。
ついでに、俺が舌を火傷したのはその一瞬あと。
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