第弐夜

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 なんで、嘘だって分かったのかなぁ……? 「ホーク~」  俺は丸一日ぶりに弟の愛称を呼んだ。 「何?」  ホークがそう言って、俺を見る。  よし、はぐらかそう。 「レモンパイ食べたい」 「……あの、リュカ兄……? 人の話、聞いてた…………?」  ううん、聞いてなかった事にする。 「と、とにかく! 説明して。納得いかない」  ホークはちょっとむくれた様子で俺達を見る。  ミルカは台所から戻ってきて、ホークにもレモンティーを出す。  ホークはお礼を言って、ティーカップを持ち上げる。  …………あ。 「ホーク」  俺はもっかい、ホークの名前を呼ぶ。 「今度はなぁに? リュカ兄」  どうやら俺がそんなにすぐに口を割るとは思ってないらしく、怒りもせずに訊いてきたホーク。 「いきなり飲むと、火傷するよ」 「……ん、ありがと。予想通り、全然関係ない話題だね」  ホークは半ば諦めた様子でそう言って、ティーカップをテーブルに戻す。  ミルカもいつの間にか、テーブルについてた。  それからそのまま1時間くらい経過した。 「……あのね、リュカ兄? 僕、我慢大会に来たんじゃないの。話してくれればいいだけなのに、なんで何も言わないの?」  痺れを切らしたホークが、ちょっと音を上げた。 「ランディ兄はどうせリュカ兄に口止めされてるだろうし……」 「うん、した」 「だからリュカ兄に訊いてるのに~!」  一応相づちを打ちながら、俺はのんびり紅茶を飲む。ん~、レモンティーにレモンパイって合うかな?
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