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「……ごめん。俺が勝手に暴走したんだ」
突然、ランディがそう切り出した。
「言うな、て言ったじゃん」
俺はちょっとムッとして、そう言う。
ランディはなにも悪くない。止め切れなかった、俺が悪いんだ……!
「だって、リュカ話そうとしないじゃん。ホーク達なら平気だって。第一、わざわざここまで追ってきたんだぜ?」
ランディは俺に、ちょっと辛そうに笑ってみせた。そしてホーク達に事情を説明する。
……ランディに隠し事させるのは無理なのかなぁ? あんな辛そうな笑顔、初めて見た……。
「……んで、気が付いたらベットにいた。たぶん、暴走したんだと思う。リュカが全然話してくれないから、どんな事をしたとかわからないんだけど……」
ランディはそう言って、レモンティーを一口飲んだ。
ランディが暴走した時なにをしたのか、俺は誰にも言うつもりはありません。
「聞いた話では辺り一面、血の海だったらしいけど……。リュカ兄は怪我とかしなかったんだ?」
「そうだ! リュカ。俺、お前に怪我とかさせなかった!?」
ホークの一言で、ランディが弾かれたように俺に訊ねる。
「うん? したよ」
あえて嘘をついてみる俺は、天の邪鬼?
「嘘!?」
「嘘」
ホークとランディが声を揃えて驚いたところで、あっさり嘘をバラす。
この2人をからかうには、このくらいがちょうどいいんだ。でないと、2人とも本気にするから。
「そういうところで嘘はやめようよ、リュカ兄……」
何故か脱力したっぽいホークが、脱力した声で俺に言ってきた。だったら余計、嘘言ってやる。
「……あ、今『余計に嘘を言ってやる』とか思ったでしょ?」
ランディに考えを読まれちゃった。
「……なんで分かったの?」
「なんとなく、分かるもん。全く、天の邪鬼なんだから……」
ランディは、でも楽しそうに笑ってくれた。
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