第弐夜

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「赤ちゃん、赤ちゃん、こっちだよ」 「だから違うってば!」  小一時間ほど街道を歩いて、まだランディを赤ちゃんって言う俺。だって「寒いよ、寒いよ」とか言われてなんとなく赤ちゃんっぽかったんだもん。 「ランディ兄、すっかり赤ちゃんにされてる……。リュカ兄、恐るべし」  何が恐ろしいのか、ホークはそう言ってた。 「でも赤ちゃんって世界共通・種族共通で可愛いからいいじゃん」  俺はランディに『赤ちゃん』のレッテルを勧めてみる。 「あのねぇ、俺はリュカと同い年だよ? 18だよ!? どうして18の男が可愛いなんて言われたいんだよ」  寒がりランディが寒がりながら、呆れてる。……あ、なんかこの語呂いいな。 「とにかく、俺はリュカと同い年でけっこうです!」  寒がりランディは寒がりながら、赤ちゃんのレッテルをはねのけた。うん、気に入った。この語呂。 「それにしても、こう寒いと木の実もないね……」  あちこちで木の実を採って、本を読む時に紅茶と一緒に食べるのが俺の趣味。でも、冬だから木の実がない……。 「まぁ、それはしょうがないよ」  ミルカがちょっと困ったように、がっかりしている俺を見る。 「リュカ兄の趣味は、季節限定だね。でも季節限定だから楽しいって事もあるじゃん」  ホークがそう言って慰めてくれる。でも、大好きな木の実が無くなったのはやっぱり悲しい……。 「リュカ、木の実採りも木の実も大好きだったもんな~」  今度はそう言って、ランディが俺の頭を撫でてくれた。
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