24人が本棚に入れています
本棚に追加
/321ページ
「赤ちゃん、赤ちゃん、こっちだよ」
「だから違うってば!」
小一時間ほど街道を歩いて、まだランディを赤ちゃんって言う俺。だって「寒いよ、寒いよ」とか言われてなんとなく赤ちゃんっぽかったんだもん。
「ランディ兄、すっかり赤ちゃんにされてる……。リュカ兄、恐るべし」
何が恐ろしいのか、ホークはそう言ってた。
「でも赤ちゃんって世界共通・種族共通で可愛いからいいじゃん」
俺はランディに『赤ちゃん』のレッテルを勧めてみる。
「あのねぇ、俺はリュカと同い年だよ? 18だよ!? どうして18の男が可愛いなんて言われたいんだよ」
寒がりランディが寒がりながら、呆れてる。……あ、なんかこの語呂いいな。
「とにかく、俺はリュカと同い年でけっこうです!」
寒がりランディは寒がりながら、赤ちゃんのレッテルをはねのけた。うん、気に入った。この語呂。
「それにしても、こう寒いと木の実もないね……」
あちこちで木の実を採って、本を読む時に紅茶と一緒に食べるのが俺の趣味。でも、冬だから木の実がない……。
「まぁ、それはしょうがないよ」
ミルカがちょっと困ったように、がっかりしている俺を見る。
「リュカ兄の趣味は、季節限定だね。でも季節限定だから楽しいって事もあるじゃん」
ホークがそう言って慰めてくれる。でも、大好きな木の実が無くなったのはやっぱり悲しい……。
「リュカ、木の実採りも木の実も大好きだったもんな~」
今度はそう言って、ランディが俺の頭を撫でてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!