24人が本棚に入れています
本棚に追加
/321ページ
「ううん」
案の定、リュカはそう答えた。
しまった~! リュカの誕生日、3ヶ月も忘れてた~!?
「ご、ごめんリュカ!」
「いいよ~。ランディはバイトで忙しかったし、シェラハさんも残業だったんだから」
リュカは笑ってそう言ってくれたけど、俺はかなりショックだ。よりによって、リュカの誕生日を忘れるなんて……。
実は1月にちょっとお金を使い過ぎて、その穴埋めとリュカへのプレゼントの為に1月から4月まで夜にコンビニでバイトをしてた俺。
けどリュカの誕生日の当日、急に当番だった奴が風邪で出られなくなって俺に電話がかかってきた。
不幸な事に、お袋もその日は残業で……そのあと飲み会に強引に連れて行かれて、酔って帰ってきたらしい。
「チクショ~……今から作って、ケーキ間に合うかな……?」
今は夕方の5時。これから買い物に行って、作るとして……う~ん、難しい……。
「無理しなくていいってば。そうだな~、今日はベーコンのアスパラガス巻きが食べたいな」
リュカは俺を気遣って、別のメニューを提案してくる。けどなんとかリュカの誕生日を祝ってあげたいから、とりあえずそれは頭の片隅に……ん? ベーコンのアスパラ巻き?
……ベーコンをアスパラで巻くの?
「……リュカ。ベーコンのアスパラ巻きって何?」
たぶんアスパラのベーコン巻きだと思うけど、一応訊いてみる俺。
「え? ほら、アスパラガスをベーコンで巻く……」
「リュカ。ベーコンのアスパラ巻きじゃ、ベーコンをアスパラで巻く事になるぜ……」
ベーコンとアスパラの生態が変わっちまったよ……。ホント、リュカの天然は面白いなぁ~。
その日、俺は結局ケーキを作ってリュカの18の誕生日を祝ってやった。
時間がいっぱいいっぱいだったから、プレゼントは後日って事にした。俺もお袋も。
最初のコメントを投稿しよう!