24人が本棚に入れています
本棚に追加
/321ページ
結局散々怒られて、部活のない貴重な朝の1時間を無駄にしたランディ。今度は半ば追い出される形でリュカとおつかいに出掛ける事になった。
「なぁんか、お袋にだけは勝てないんだよな~……」
「腕力でなら、とっくに勝ってるのにね」
もはや兄弟というより、双子に等しい2人は近くのスーパーで買い物をしながらそう呟く。
「別にホークの名前を借りるくらい、いいと思わない?」
ランディは一杯になった買い物カゴを片手にレジに並びながら、リュカに訊ねる。
「いや、俺はそのホークさんを知らないから……」
リュカは苦笑して返す。
「……そういやお前、あれからあの夢見てるのか?」
ランディの質問にリュカは「そうだ、ソレ!」と言う。
「今日、久しぶりにあの夢を見たんだ。けど、ちょっと内容が違った」
「へぇ。進展あったんだ」
リュカの言葉を聞いたランディが意外そうに呟く。
リュカの見る夢……。それは多々あるが一番本人の記憶にはっきり残っている夢は、全てが淡い青の空間に自分ともう1人の『少年』がいる夢だ。
もう1人の少年は、リュカにとてもよく似た容姿をしている。まるで双子のように、瓜二つの少年……。そしてその夢の中では、2人はいつも学生服。
「どうして、夢に出てくるのか訊いたんだ。そしたら『この世界を見たかった』て言ってた」
リュカは少し淋しそうな表情で今日の夢をランディに伝える。
「…………そっか……」
ランディもまた、悲しげな表情で俯いた。
最初のコメントを投稿しよう!