仲直り

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眠りが浅かったせいだろうか 夜中に何が頬に当たる気配で目が覚めた 真っ暗で何も見えないが、頬を触っても何も付いていない 気のせいかとも思ったが、部屋に充満している生臭い臭いが気になった そっと起き上がって、枕元の電気をつける 隣で安らかに眠っている妻がいる こんな生臭い空気の中でよく眠れるものだ。妻の無神経さに腹が立った 人が汗水垂らして働いた金で旅行に行き、飯が不味いと言いながら全部平らげ、不平を言いながらも風呂を楽しみ、文句を言いながら安らかに眠っている こんな無神経で愚かな女と今まで一緒に居れた事の方が奇跡だ 妻にまだありがとうと一言だって言われていないし、今更言って欲しくはない 妻の細く白い首に手を伸ばす 想像していた以上にしっくりと手の中に収まった 力を込める ぐぐっと苦しそうな声を出して妻の目が開いた 「やめ……」 遅い 更に力を込める 布団が蹴飛ばされて、真っ白な太ももが露になる 妻はこの手から逃れようと必死でもがくが、男の力には敵うまい 妻の手の爪が腕に食い込み割れると同時に、グシャリと首の潰れる音がした
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