仲直り

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「おはようございます」 仲居が部屋に入って挨拶をする そう言えば、朝食を部屋で頼んでいたんだった。自分は旅館に泊まっていたのだと思い出すまでに少し時間が掛かった 「朝食をお持ちしましたけれど、準備をさせて頂いても宜しいでしょうか?」 ぼんやりとしたまま頷くと、仲居はてきぱきと準備を始める 「今日は良いお天気ですよ」 カーテンを開けて窓の外を眺めると、朝日に輝く海原が眼前に広がり、確かに今日は良い天気になりそうだと思う テーブルに並べられた朝食は豪華で、1人では食べきれそうにない 「多すぎないか?」 笑いながら聞くと、旅館に1人で泊まられる客は滅多にいないから、1人分は難しいのだと笑い返された 「残してくれて結構ですからね」 そう言って仲居は部屋を後にした 清潔感溢れる室内、窓から見える絶景の眺め、贅沢で美味い料理 昨晩見ていた夢を思い出す それと同時に手に生々しく首を潰した感触が蘇って来たので苦笑が漏れる 「仲直りか……」 妻は居ないのに
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