第二章・元凶

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「研究所で何があったんだ?とは言っても、さっき自爆したようだし、確かめようがないな」 アルバートは地下水路へ足を踏み入れた。オルマール病院と地下研究所を繋ぐ唯一の道だ。 「とにかく、この街から出るには研究所の最下層にある電車が一番安全なはず」 アルバートは水路をやや急ぎ足で進んでいく。地下水路に何か居るという可能性はかなり低いはずだが、それでも油断してはならないのだ。 バシャッ…。 「!?」 前方から何かが跳ねるような音が聞こえたため、アルバートは拳銃を取り出した。ベレッタ92F。今や世界的に有名なハンドガンである。 「まさか…B.O.W.が?」 B.O.W.、それはエンブレム社が作り出した有機生命体兵器の事である。狂った製薬会社の本当の顔が、B.O.W.の売人なのだ。 「B.O.W.だとしたら、拳銃なんかじゃ太刀打ちできない…」 アルバートは息を潜めて状況を確認した。前方約10m先に、鋭い鉤爪の持ち主がいた。人のような形をしていて、体色は黒っぽい色をしている。 「あれは…ジャイド!」 アルバートは静かにゆっくりと進んでいく。ジャイドに気づかれれば、拳銃しか持たないアルバートはものの十数秒で餌食になるだろう。
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