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「気味が悪いぜ…」
「動き出さないことを願って早く調べよう」
山本の発言で、池田と高崎も室内の調査を開始する。書類が挟まれたバインダーやファイルが大量に並べられており、化学分野に秀でた山本が中を開いて読んだ。
さすがに英文を全て翻訳するのは無理なので、気になったファイルだけを手に取り、零崎から貰ったリュックに入れた。
「よし、次だ。ここは出よう」
池田が扉に手を掛けた時、背後で何かが割れる音がした。はっと振り返ると、あの生物が外に出ていた。
「やばい!逃げろ!」
「なんてこった!」
一目散に研究室から出た三人は、扉を閉めることも忘れて走った。エレベーターのスイッチを押すが、反応がない。
「おい来たぞ!」
「こんなところで役に立つなんてな。みんな、伏せろ!」
山本が、懐から見覚えのある緑色の丸い物体を取り出して投げた。生物は研究室から出たばかりで、手榴弾は研究室の入り口付近に引っかかって止まった。
そして、次の瞬間爆発が起きた。火薬の量が比較的少なめなこともあってか、三人に被害はなかった。
あの生物は即死のようだ。黄色い身体は焼け焦げ、肉が千切れていた。
「研究室がむちゃくちゃになってるな」
「ってか宗平、手榴弾なんか持ち歩いてたのか」
「いざって時のためにな」
「おかげで命拾いしたぞ」
三人は霊安室に入った。あまり関わりたくない部屋だが、非常時のため仕方なかった。
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