第三章・死闘

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「これじゃナイフが当たらない…」 藤原は逃げようかとも考えたが、この男のスピードでは、背中を見せた瞬間に貫かれるだろう。 「万事休すってやつか…」 その時、実験室の扉が開き、浅井と、懐かしい顔たちが姿を現した。 「待たせたな!」 「本当に生きてたな。藤原、加勢する!」 池田勇人が銃を抜いて叫ぶ。それに続いて、高崎翔と山本宗平も銃を構えた。浅井も89式を構えて男に駆け寄る。 男は五人の敵を前に怯むこともなく、その速さで翻弄してくる。接近してきた浅井に回し蹴りを放ち、池田に対しては掌底を使い、そのまま藤原にラリアットを食らわせる。 「三人をあっという間に…。まずいな…」 山本の頭の中で、男を倒すための一つの方法ができつつあった。 7/25 21:30 浅井side 右ルート 「しかし、大きい場所だな。地下にこんな施設を造るなんて、金持ちか」 浅井はすぐ近くにあった扉を開ける。そこには大きなカプセルがあり、No.00189 フェニックスと書かれたネームプレートがあった。中の生物は鮮やかな赤色をしており、本などでよく見るフェニックスそっくりだ。 「不死鳥だと?笑わせんな。死なねえ生き物なんて居ないんだよ!」 乱暴にカプセルを蹴り、歩きだそうとした浅井は愕然とした。
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