第三章・死闘

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「宗平…お前を死なせやしない…」 藤原は山本の手榴弾を奪い、男の前に立った。男はとどめを刺そうと、藤原に手刀を繰り出してくる。藤原はそれを辛うじてかわし、わざとよろめく。そこへ再び、手刀を繰り出す男。 その時、浅井が後ろから男を羽交い締めにする。すかさず藤原は、男の着ている防弾ベストの内側に手榴弾を滑り込ませ、池田たち三人を実験室から出した。 そうしているうちに、浅井が振りほどかれ、投げ飛ばされる。直後に手榴弾が爆発し、男の身体は吹き飛んだ。もちろん、藤原と浅井も爆発のあおりを受け、身体を壁に叩きつけられる。 「……大丈夫か?」 「あ…あぁ、いてぇ…」 藤原も浅井も、先ほどからの戦闘で身体はぼろぼろだった。 「ちょっと…休むか…。休憩室を…通ってきただろ…?」 「あぁ…」 藤原と浅井は、よろよろと立ち上がり、実験室を出て行った。 池田たちが二人を支えながら休憩室まで移動する。皆それぞれ身体に傷を負って疲れているが、池田と高崎は横にならず、警戒していた。 「なんだったんだろうなあの男」 「むちゃくちゃな速さだったよな。超人って感じだった」 「あんなのが無数に居るってなったら、ほんと勘弁だよな…」
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