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階段を駆け下り、緊急用の脱出装置のある部屋に到着した一行。アナウンスが、爆破まであと一分であると告げる。
「いよいよ時間がない。この装置を早く作動させないと!」
山本がスイッチを押すと、壁がせり上がり、列車の室内のような部屋が現れた。
「ここに入れということらしい。行くぞ」
一行は室内に入った。どうやら本当に列車のようで、前方に運転席があった。とは言っても、自動で動くらしい。扉が閉まり、列車は動き出した。振動がほぼなく、音も無音に近い。まるでリニアモーターカーのようだ。
「間一髪って感じだったな」
列車後方から爆破の衝撃が伝わってくる。地下研究所は破壊され、おそらく生物兵器開発の証拠なども共に葬られたのだろう。
「ふー。やれやれだな」
突然、聞き覚えのない声が聞こえ、全員が声の主を凝視する。
「誰だよあんた…」
「俺はアルバート・パットン」
「まさか研究所の所長の…?」
「そう、所長の息子だ」
「なぜここに!?」
「私も脱出してきたんだよ。私の方が早かったんだがな。おっと、別に私は君たちをどうこうするつもりはない」
アルバートは列車内部の座席に座り込み、進行方向の先を見る。この列車はどこへ向かっているのか。全員がそう思っていた。アルバートすら、どこへたどり着くのか知らずにいる。
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