340人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
『セツ、学園に行け』
何の脈絡もなく、突然言われた。
クルメのこういうのには慣れてるがもう少し時と場所を考えて欲しい……といつもなら言うだろうな。
『がくえんって何だ?』
今回ばかりはありがたい。
こんな奴の話聞きたくないし。
俺は目の前の生物から視線を外すとクルメの方を見た。
『うわぁ……お前、学園も知らねぇの?』
……すっごい馬鹿にされた。
クルメは俺が“がくえん”を知らないのを知ってるのに。
『うん、知らない。それでがくえんって何だ?』
早く話を進めるにはあしらうのが一番だ。
クルメに拾われたばかりの頃は一々突っかかってたけど、何百年も一緒にいれば流石にそんなことはしなくなる。
クルメはそんな俺をつまんなそうに見ると唇を尖らせた。
厳つい奴がやればさぞかし気持ち悪いのだろうが、クルメは見た目は10歳位の子供だ。
瞳孔の細い金色の瞳に真紅のくせの強い髪。
そして小麦色の肌をしているクルメは“やんちゃ坊主”という言葉がよく似合っている。
……実際は千年以上生きているらしいが。
最初のコメントを投稿しよう!