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「情報を言ってくれるなら保護するけど」
「イイカラ早ク殺セ!」
焦ってるな。
だが、エンガが焦れば焦る程翠達は訳わからなくて戸惑う。
「…………えっ?」
そして、とうとう我慢出来なくなったのか自ら刀を突き刺した。
……まぁ、妥当な判断だな。
此方に向かってくる強めの気配があったし、あれに回収されたらそれこそ死んだ方がましだと思うようなことをされたはずだ。
大方、俺の声で自分に時間がないのを思い出したんだろう。
何が起こったのか把握しきれない翠は暫くそのままの態勢で固まっていた。
そこへ現れた気配の主。
銀灰色の髪と薄い蒼の瞳をもつ見た目は俺より少し低い位……16歳前後の少年。
特徴を言えば、表情が全くないことか。
その少年は何も言わずに翠を一瞥すると刀を引き抜き、エンガの死体を軽々と背に担いだ。
「えっ!何を?」
やっと我に返った翠が少年にたずねる。
「回収」
少年は面倒臭そうに答えると俺に一瞬視線を向け、すぐに消えた。
あいつ、なかなか強そうだが噂にも聞いたことないな。
本格的に何か大きなことを企んでいる奴がいることを確信して、俺はその場を去った。
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