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それから俺は寮に帰らず、とある場所へ向かった。
移動教室で行った森の比較的近くにある厳重に隠された味気ない建物。
俺には白いでかい箱にしか見えないが、中からいくつもの気配がするのだから建物と呼んだ方がいいのだろう。
あのエンガが“変わった”原因だと思われる研究施設。
ここはあの少年がいる場所でもある。
俺がここに来たのは敵なのかどうかを聞くため。
BMOの方はとりあえず保留する事にした。
永山のような奴が沢山いるのなら問題ないが、柏木のような奴ばかりなら敵。
まだそれについては判断出来ないから別件であるこっちを見ることにしたのだ。
俺の生活を脅かさないのであればどんなことをしてようが関係ない。
必要ないことはきっぱりと切り捨てここの責任者らしき気配を探す。
しかし、それらしきものを見つけることは出来なかった。
この時は気付いてなかったが、責任者が見つからないのは当たり前である。
俺は“ずば抜けて強い気配”又は“極端に弱い気配”を探していたが、人間は“強さ”よりも“賢さ”でそう言ったものを決めるのだから。
結局、その事に気付くまでの数時間、俺は実に無駄な時間を過ごしたのだった。
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