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「でもそれでこそだよね!それでこそアタシが会いたかった死神君だもん。
アタシ、死神君に近いモノ作る為に一杯研究したんだよ?
例えば、ほらっ!数少ない成功体!でも、実際に会ってみるとコレじゃあ死神君には遠く及ばないよねぇ……廃棄かな」
責任者が指差した先にいたのは銀灰色の髪と蒼の瞳を持ったあの少年だった。
何の感情も持ってないように見える徹底した無表情。
しかし、瞳は暗い感情を宿し鈍く光っている。
憎しみのこもったその視線は俺と責任者両方に向けられていた。
責任者は気付いていないようだったが。
「まぁいいや!カイン、最後の命令だよ!死神君に傷を負わせて。血液の採取位出来るでしょ?」
「……了解」
言うか言わないかの内に襲いかかってくる少年──カイン。
俺はその伸びた鋭い爪で切り裂こうとしてくるカインの腕を掴み……その場から逃げた。
あれ以上彼処にいても収穫はなさそうな上にややこしいことになりそうだから。
あまりにもいきなりの事だったからか反応するものはなく、俺はカイン本人にも邪魔される事なく研究所を出ることが出来た。
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