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「さて、話して貰おう。何故憎悪の対象に従っているのか」
「どうして気付いた?」
やはり表情は変わらないがこいつの感情はわかりやすい。
瞳に驚きの色が過ったのがわかった。
「目を見れば観察眼のある奴は分かると思うが」
「そうなんだ……」
ほっとした空気と同時に口調が崩れた。
「それが素か?何故口調を変えてた?」
「えっ……あっ、僕……俺は──」
「無理に偽る必要はないが」
無表情で慌てる様は面白い。
ただ、憎しみの目で見てた俺の前で気を抜くのが不可解だった。
「……そうか。あの人はいないんだ」
何やら感慨に耽っているようだがこれだと話が進まない。
「それで、何故あいつに従っていた?」
「…………逆らえないから」
輝いていた瞳が翳り、何かに怯えるように窓を振り返った。
「それは精神的にか?」
と聞きながらも違うと確信している。
もうそうならばあんな目で責任者を見る訳がない。
カインは予想通り首を振り、自分の頭を指差した。
「逆らうと仕込まれた機械のボタン押される」
それならば、何故今平気なんだ?
そのまま放って置くには気がするが。
そんな俺の考えに気付いたのかカインが続いて説明した。
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