SCENE2 一歩前進

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 朝起きてダイニングに入ると、すでに朝食が並べられていた。 こんがりと焼けたほっけに大根おろし、別のうつわには、水菜とレタスのサラダが盛られている。 「おはよう」 すでに顔を洗い、髪もセットしている。 タキオはダイニングテーブルに腰を下ろした。 その刹那、すでに隣で朝食を食べていた美香が立ち上がった。 まだ食べかけの食器を持って、ひとつ隣の椅子に移動する。 タキオはそんな美香を見たが、美香は目を合わせようともしない。 理由はわかっている。 「父さんは?」 いつもなら、向かいで新聞を広げ、麦茶を啜っている父がいる。 だが今日はその姿がなかった。  
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