第一話 父と軍隊

20/24
前へ
/28ページ
次へ
 13:30  銃試射撃場前  「よし、全員そろったな」  フレラ隊長がお腹をポンッと叩いて言った。  「じゃあ、応用訓練を始める、ここでな」  後ろの銃試射撃場を指で指した。  「僕、銃を撃つの初めてです」  俺は自然と口から言葉が出た。  「な~に、簡単なものさ。引き金を引くだけだ」  フロール副隊長が笑顔で言ってきた。  「ともかく、まずは中に入ろう。話はそれからだ」  銃試射撃場の中へと歩いて行った。  「広いですね~」  高い天井を見上げながら俺は呟いた。  大きな体育館のような銃試射撃場の中で、射撃音がいつもこだましていた。  「各自、撃っていけよ~」  射撃場所につくと早速始まった。  「了解」  皆がそれぞれ撃ち始めた。  「これが軍隊の一般的な銃だ。慣れてくれば、お前にも自分用のこの銃が手に入る」  視線の先の台の上に銃が置いてある。  「よし、構えろ」  銃を持つと意外に重かった。  「こんな感じですかね」  「もっと腰を低く。あと、これを覗くんだ」  銃の上に覗ける物がついていた。  「これはサイトと言って、真ん中の赤い点に銃の弾が飛んでいく」  覗くと真ん中に赤い点があった。  「後は撃ってみろ」  パンッ!  銃の引き金を引くと同時に後ろに力がかかった。  「銃をもっとしっかり持って。次は的を狙え」  声と同時に人型の的が出現した。  パンッ!  弾は的の横を通過した。  「最初はこんなもんだな」  俺は少し悔しかった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加