第一話 父と軍隊

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 「さて、次は訓練の中で一番辛い持久走だ」  何故かフレラ隊長は笑顔で言った。  「一番辛いんすか!?」  どうやらこれはトチェスも初めてのようだった。  「ああ、一番辛い」  満面の笑みをフレラ隊長は見せた。  「イヤー!!」  トチェスの顔は恐怖に覆い尽くされた。  「あんなに恐ろしい笑顔は見たことがない」  フロール副隊長が超真剣に、冷や汗をかいて真顔で言った。  「そんなあんたの顔も見たことないよ」  俺は心の中でそう呟いた。  「じゃあ始めるか、ルールは簡単。基地内の外周を3周」  新米の俺にとってどれほどの距離なのか全く分からなかった。  「3周……」  トチェスの顔は死んでいた。
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