第一話 父と軍隊

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 19:33――  「今日は特に疲れた」  トチェスが寝転んで言った。  「なまりきった体を一からたたき直してやる」  フレラ隊長が少し笑って言った。  「しっかし、外周3はきついよ」  フロール副隊長は疲れ果てた顔をしている。  疲れのあまり会話がそこでとまった。  全員が寝ころんだり座ったりしている。  「それが普通だ」  俺は聞き覚えのある声を聞いた。  「よっ」  振り向くと父がいた。  「おっ、ランフェルさん」  フレラ隊長が口を開けたまま言った。  「久しぶりだな」  父が笑ってフレラ隊長をみた。  他の皆が誰?という顔をしていた。  「俺の父さん」  父を指してトチェス達に言った。  「まじで!?タイルの親父軍人だったんや!!」  トチェスがかなり驚いて言った。  「階級は俺と一緒で隊長やってる」  フレラ隊長が説明した。  「ただ、人生の先輩として敬語は使ってるけどな」  なっという顔で父をみた。  「みんなタイルの事宜しく頼むな」  フレラ隊長を見て苦笑いしてから言った。  「任せて下さい!しごいてしごいてしごきまくりますよ」  フロール副隊長が殴るポーズを何度もしながら言った。  「なんすかその動き」  皆は笑っていたが、俺は笑いづらかった。  「じゃあな」  父は笑って行った。  「お疲れ様で~す」  「じゃ、解散!」  フレラ隊長が立って言った。  「しゃー!!」  今日は本当に疲れた1日だった。  「フレラ隊長」  俺は伸びをしている隊長に話しかけた。  「どうした?」  「フレラ隊長と父の思い出話して下さいよ」  「思い出話だと?」  少し恥ずかしそうに言った。  「聞きたいっすね」  フロール副隊長も入ってきた。  「じゃ、僕ら先に失礼しま~す」  トチェスとレイカが笑顔で歩いて行った。  「思い出話か~」  フレラ隊長は目を上にして考えている。  「良い思い出ではないが、少し話してやる」  フレラ隊長の目がいきなり真剣になった。
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