睦月朔夜との休日

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死ぬ、死ぬぞ。今日が俺の命日になる。 ベランダに吊るされる。 奴はやるぞ。確実にやるぞ。 そうなる前に去る。 そう思い、脱兎のごとくその場から逃げ去る。 「あ! まてバカ息子!!」 待てを言われて待つバカは悟だけだ。 俺は靴も履かず外に逃げ出した。 玄関のドアがガシャンっとしまる。 そして玄関から間合いをとり、相手が出てくるのを待つ。 が、何故かカシャっと鍵が閉められた音がした。 はっ! ヤローまさか! 玄関の前に立ち、ドアを開けようとする。 鍵が閉まったのか確かめる為だ。 しかし、奴は凄かった。 まさに神業だと言える。 俺が開けるほんの何秒で鍵が開き、玄関は見事に開いた。 そして目の前にはババア。 まあ、見た目はかなり若く見えるんですがね……。 奴は不敵に笑い、俺の首を掴む。 鷲掴みですね。 苦しいです。凄く……。 「さあ、楽しい楽しい死刑の時間だ」 親が悪魔に見えた今日この頃。そして、死んだなと覚悟した今日この頃だった。
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