第2章

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――タンタンタンタン 階段を昇っていた 2つの足音が 私の部屋の前で止まる。 「ゆーずーきっ入るよぉ?」 「彩。先にノック。」 「あ、そか!」 コンコン 「柚木ー!」 律儀にドアをノックする2人に これがかの有名な “親しき仲にも礼儀あり” ってやつだよね。うんうん。 と一人で感心していると、 ――ガチャッ 返事をする前に 2人が入って来た。 「だから彩!返事を待つ!」 「まーまーさっちゃん。 柚木に変な気起こさないでっ」 「彩それ使い方まちが「わあっ!!」 2人の久々の訪問に 涙サプライズをお見舞いしようと 机の下から全力で飛び出した瞬間 ゴツンッ―――― という鈍い音が鳴り響き、 涙サプライズどころか 自分で涙を浮かべるハメに なってしまった。 「っいっった!!!」 「あはははは!! 柚木おバカ!ドジすぎ!」 「っ………ちょ、彩、うざ」 心の底から楽しんでいる彩を 怒るにも痛すぎて うまくしゃべれない。 「あーもう柚木は ドジなんだから。見せて。」 皐月が私の手をそっとずらし 後頭部を労るようになでる。 「ん―…ちょっと腫れ…ぷっ」 堪えていたのかとうとう 笑い出す皐月を見て 私までおかしくなってきてしまった。 「「あはははははは!」」 乾ききっていた私の部屋を 潤してくれる明るい声が 心地好く響き渡った。    
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