2人が本棚に入れています
本棚に追加
そのとき、無駄にでかい声がぼくらに向かってきた。
「大河、アップルパイ百円な!」
それはパンを両手に抱えた進藤翔太だった。
「おお、さんきゅ」
大河は進藤に頼んであったらしいアップルパイを受け取ると、ポケットをジャラジャラとならし、その中から取り出した百円玉をひとつ投げよせた。
進藤はいかにもスポーツマンらしい顔を歪めながらそれを受け取る。
「おまえ、そのポケットにいくら入ってんの?」
大河はさも興味なさげに肩をすくめた。
「さあ?」
「嫌味な奴」
進藤はわざとらしく舌打ちすると、近くの席から椅子を拝借してきてぼくの机にパンをおく。
サッカー部の進藤とは大河を通して最近話すようになった仲だ。
他愛無い話をしながら昼飯を食べ終えると、いつものように大河がトランプをとりだしてにやりとした。
「さて、今日もやりますか」
進藤もよしきた、というように力強く頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!