プロローグ

3/3
前へ
/67ページ
次へ
 普通じゃないんだって。本当に、だれもわからなかったの。三者面談なんかもあったはずなのに。みんなの記憶が改ざんされてたみたいなの。それでね。  まだ続きあんの?  うん、それで、そのままそのクラスは卒業式を迎えたんだ。一人増えたまま。そして卒業式が終わり、一年を過ごした教室に戻ると、今朝は全員いたはずの教室に一つ空席があったの。  成仏したのか?  そんな感じかな。だけど、だれもその『もう一人』のことを思い出せなかったの。一人増えていたって記憶だけあって。そんなことがあってからこの学校では『五月の転校生は死者だ』っていう話があるみたい。  ふーん。なんか他の七不思議よりちゃんとした設定だな。  だよね。でも別に死者だったから害があるって話はなかったし。あれ? あったんだっけ? なんか、死者のまわりでは不運な事故が起こりやすいって聞いたような気も……。  それは嫌だな。  あ、そうだ。死者だったら見分ける方法があるっていうのも聞いた。  増えたのが誰だかわからないんじゃなかったのかよ。  まあいろいろ尾ひれがついてるみたい。  七不思議だからそんなもんか。で、どうすれば見分けられるんだ?  握手するの。もし死者だったら、その手がとっても冷たいんだって。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加