2人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、甘やかしすぎたせいで、それは徐々に当たり前のことになっていってしまった。
大河はただでさえ阿呆なのに、ほかの人がする最低限の努力さえしなくなれば、彼の人生はどうなってしまうのか。ぼくは不安でたまらない。
正直、今年の進級はあきらめていたのだが、そこはなんとかなったようで一安心だ。
よって、これはもう毎年のことなのだが、ぼくは今年こそ大河を甘やかさないようにしようと決心しているのだ。
今年の決意はかたいぞ、大河。
これは我が愛があるためなのだ。我らの絆ゆえのことなのだ。わかってくれ。
「やだ」
「そんなー頼むよー。新年度早々居残りなんかしたくないー」
ぼくはウルウルとした瞳を向けてすり寄ってくる大河の脳天にチョップをくらわせてやった。
「こないだ遊びに行く前に、宿題はいいのかって聞いたよな。おまえ、なんて言ったっけ?」
大河は思い出すように天井を見上げ、やがて笑顔をこちらに向けた。
「わかんない!」
もう一度ぼくのチョップが大河の脳天へ炸裂する。先ほどよりも少し強めに。
「もう終わったって言ったろ。あれは嘘だったわけ?」
大河は両手で頭を守りながら唇をとがらせる。
最初のコメントを投稿しよう!