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夕陽はまだ輝き続け、開けた視界はオレンジに萌えている。
カノジョは相変わらず僕の前を歩き、首に巻かれたマフラーが風に吹かれて靡いている。その顔には清々しい笑顔を浮かべ、夕陽に染まった顔で僕をみる。
きっと僕の顔も笑っているに違いないでしょう。
「明日も晴れるかな?」
どうだろうな。天気予報じゃ、晴れのち曇りだったけど。
「えー!じゃあ、明日は夕陽、見れないじゃん!」
俺に文句言うなよな。
「ちぇっ!好きな女のために雲を蹴散らすくらいの甲斐性ないわけ?」
それはもう人間サマの限界を超えてるだろうがよ!
「仕方ないな。こうなったら最終手段!」
なんだ?テルテルぼうずでも作ろうってのか?
「ちがうよ!」
そう言ってカノジョは思いっきり足を振り上げた。
「あーした天気になーあれ!!」
カノジョの右足の革靴は、放物線を描いて、夕陽に染められた空をとんでいきます。
「晴れろー!!」
ソレよりも遠くへとんでいくのは僕の革靴。
一緒にとはいかないけれど、僕らはそれでいいのかもしれません。
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