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アイスブルーの瞳がはっきりとした意志を向けてくる。
彼女はぺこりと頭を下げた。
……………ホラーだ。
「よろしく頼みます」
シンシアを抱きかかえるアーツベルトが真摯に頼み込む。
そんな風にされると断れない千里は師団員達を恨めしく思いながら頷いた。
千里は眼帯を外した。
色の変わってしまった瞳が橙色に輝く。
そっとシンシアの頬に触れたその時―――――。
ビリビリッ
「――っ?!」
蒼の電気がシンシアの周りで起こる。
バツンッ!
拒絶するように千里の手が弾かれた。
痛みに顔を歪める。
そして自分の体の中に感じる変化に息を詰めた。
一つ―――消えた。
「何をした」
険のある顔をするアムカ。
ちらりとヒヅメを盗み見れば、鳩が豆鉄砲をくったような顔をしている。
ヒヅメの更に後ろに控えていたあしびが一つ瞬きした。
「弾かれた…………というより、魔法を消された」
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