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『残念だったなライナー。今回お前さんの出番はないよ』
ライナーの隣に並ぶ真っ黒の機関車――――八二号、レイディが(恐らく)鼻で笑った。
レイディはライナーよりも古いらしくあちこち鈍い色を見せている。
蒸気機関車は彼以外もういないらしい。
それを誇りに思っているのか、絶滅を阻止しているのか、レイディは堂々と仕事をするらしい。
『年寄りはもう引退したらどっすか』
『誰が年寄りだ青二才』
汽笛や警笛を鳴らして威嚇しあうライナーとレイディ。
あまりの五月蝿さに耳を塞いだ。
「ライナーはコーベン地方には行かないから仕方ないさぁ。それに君には君の仕事があるだろう」
ヒヅメに諭されてライナーは黙る。
「帰りは魔天楼まで乗るんだからそれまで我慢だライナー」
『………ッス』
「いい子だ。というわけでレイディ、よろしく」
『かしこまりまして』
レイディ促されて千里は隆哉を抱えて乗り込んだ。
中はライナーとさほど変わらない造りになっている。
ただ千里が知ってる蒸気機関車とは違い窓は開けられないようだ。
さて、これから戦が始まる。
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