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千里は進行方向を確認して適切な場所に座った。
魔法が使えるようになった。
だけどこれは別問題なのだ。
アギトに会いに行く時だって死ぬ思いをした。
酔う事はなくなったのだけど…。
『それでは皆様、レイディ発車します』
合図が聞こえた途端条件反射で血の気が引く。
体がガクンと揺れた。
刹那、ビリビリと突き刺さる風と圧迫感に千里は顔をひきつらせた。
流石にもう吹っ飛ばされるなんてヘマはしない。
「飴あるぜ藤枝、食うか?」
手塚がくすりと笑って飴をちらつかす。
千里にそんな余裕があるわけがないと知っているから態とだ。
「手塚、あんた降りたら覚えてなさいよ」
「へぇ?楽しみだな」
隆哉が「れーちゃん!」と手塚に抱きついて飴を欲しがった。
軽くからかってもう満足したのか手塚はあっさりと飴をあげた。
「お茶もあるぜ。飲むか?」
「そんなもん寄越したら殴り飛ばす…!」
「なんだよ。辛そうだから優しくしてやってんだぜ?ん?」
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