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「姿を見せて下さい。じゃないと俺は、寂しくて死んでしまいますよ」
そう言った後暫くシンシアの反応を待ったのだが、一向に動く気配がない。
アーツベルトは深くため息をついた。
「何がそんなに気に食わないんですか」
その時、扉の向こうで動く気配があった。
良かった。
そっと安堵のため息をついたアーツベルトは、扉が押されるのを見て身を引くと微笑んだ。
「シンシ、」
名前を呼ぼうとして、彼女の様子がおかしい事に気づいた。
何時もはキラキラと輝く金の瞳に正気の光が感じられない。
アーツベルトの眉間に皺がよる。
「アーツベルト…」
風鈴の音のような声が聞こえた。
一拍後、シンシアが抱いていた人形が身動きした。
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